Doctorate
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Job Interviewや卒業のための事務手続きなどで奔走して
日記を書く時間がありませんでした。

先週、博士論文の審査、
(Thesis Defense、Viva)無事に終わりました!
無事、博士号取得です。
   
  
   
博士課程には2つの段階がある。
前半が、コースワークの2年間。
Comprehensive Exam、あるいはQualify Examという
口答試験・筆記試験(研究のプロポーザル)を行った後、
後半は、研究生活を・・研究が終わるまで、、、となる。
(・・・因みに自分の専門は循環器系疾患・糖尿病)

僕はその前半では、学校が開催するセミナーには
授業も休むことなく参加し、セミナーも今の3倍は行って、
さらに積極的に発言し、違う研究室のミーティングに出たりと
けっこうアクティブに動いていた。
しかし、後半に入ってからは、話をする場面といったら、
教授と研究について話をするくらいのこと。

 
その変化の訳はというと、、自分の勉強する学問に対して、
なんだか愚かさを感じたからである。

食物の摂取と病気の発症率とを結びつける学問は、
その摂取に於ける数値化、発症率の計算に伴って複雑な統計学が
要求されるのだけれども、今ではそんな複雑な計算も、
コンピューターのおかげで数行のプログラムを書けば誰でも簡単に、
結果を導けてしまう状況だ。

そんなだから、データさえあれば
簡単に研究できてしまうし、結果を出せてしまう。

博士課程に籍を置いて見てきた
多くの学生・研究者の疫学研究の成果は
「あなたじゃなくてもできる」
という内容のものばかりであることに気づいた。

学生Xは、栄養素A と 病気B の関係・・
学生Yは、栄養素C と 病気D の関係・・
学生Zは、栄養素E と 病気F の関係・・・

そんな、研究ばかりで卒業していってしまう。
それはハー○ード大学でも同じことだ。
彼らはデータの量が1桁大きいだけで、
稀な疾患でも結果を出せるようにしているだけで
やっていることはあまり変わらない。
(もちろん、そうした研究は意義はあるのだけど)

博士課程の前半を終え、
Qualify Examでの勉強をこなしているうちに
「これはつまらない」と感じるようになった。

うちの学科にいては、自分も
「これまで勉強を頑張ってきたから、機会を与えてあげます」
と言わんばかりに
「誰でもできる研究」
を与えられ、それに従事するだけなので
なんとか、打開策を生まなければ・・と考え、近くのボス○ン大学の
疫学・統計学のプログラムの講義を受講した。
栄養関係の研究はしていないのだが、理論的な研究は強いのである。
(Modern Epidemiologyという、疫学の世界で最も難解とされる本があるのだけど、
ボス○ン大学の疫学者がメインで執筆している。)
生活習慣に関する疫学研究に、学んだことを結びつけるのは
自分の力が要求されるところで、おかげで研究は遅々としたものの、
なんとか、方法論にメスを入れるような研究論文が仕上がった。
その過程で、勉強に励んでいると、だんだん内に篭るようになった。
セミナーとか耳にしても、どっかの論文で読めることばかりだし。
申し訳ないが、行かなければならないセミナーに足を運んだ程度。
 
博士論文の発表は、自分のボスからは
「過去の全ての発表と比べてもBest」と大絶賛を受けた。
(過去の多くの学生は、プレゼンが上手じゃないケースが多く、あまり驚かない。)
前学長にも聴いていただいて、賛辞を受け、好評だった。
(前学長は、大学の学長ではなく、大学に所属するSchoolの前学長です。)
ところが、問題が潜んでいるのに盲目的に統計のプログラムを走らせている
多くの疫学者・学生にこそ聴いてほしいと思っていたのだけど、
ミーティングが重なっていただとか、何らかの理由を述べられ、
聴いてもらえず、それが適わなかった。
  
 
自分との研究談義で、議論を交わす、
疫学の教授、統計学の教授は、普段のセミナーでは寡黙だ。
たぶん、自分の感じるように、「あーぁ」っていうのも感じているんだと思う。
この博士課程で、過去数十年の統計学者や理論疫学者のジレンマを
少しでも感じることができたことは良かったと思う。
自分の博士号は、Doctor of Philosophy というんだけど、
Philosophy の要素はそうした感覚を得たことにあるかなと。
 
 
勉強に打ち込んだだけに、時間かかったし、
その分、研究の生産性は低いし、今の段階で、
世間から評価を受けなければならないのだけど
ちょっとまだ、分が悪い感じだ。
これからがんばらないと。
 
インタビューは結果待ちです!
たぶん、教授に推薦状の依頼が、
先方から直接行っているのだと思います。 
教授・・・推薦状、お願いします^^

コメント

メイ
2009年1月18日9:46

Bowさん☆

博士号取得おめでとうございます♪
緻密で地味な研究というのは、先が見えるようで見えない大変な作業(っていうのかな?)の繰り返しで、ましては異国の地での研究は、日本とは比べられない忍耐や努力が必要なのでしょうね。
だからこその集大成である今回の結果は、感慨一入ですね。
先日帰省時、長男が持ち帰ってきた雑誌から、ボストンで伸び伸びと研究生活を送る方達の記事を読みました。
以前LEDのN村氏が力説していましたが、日本という国は理系の研究分野についての対価はまだまだ後進国のようですね。
現在の世界経済では厳しい状態が予想されますが、Bowさんの益々のご活躍を期待しております^^

witch
2009年1月18日10:25

☆Bowさん☆
おめでとうございます ! !
たゆまぬ努力の結果です。 これからもがんばって下さい。

梨 林
2009年1月18日10:36

おめでとうございます☆
私も博士号取得するかと思いながらも、踏ん切りがつかないでいます。
果たして、仕事と家庭と学業(社会人大学院)と両立できるのかと自問自答しています。
今後のご活躍を期待しています。

ryo/amd_fx
2009年1月18日10:36

お久しぶりです。
博士号取得おめでとうございます。今後も頑張ってくださいませ。

la vie en rose
la vie en rose
2009年1月18日14:06

BOWさん^^

おめでとうございます♪

自分の道を探すこと=自問自答し続けることでもありますね。
日々、コツコツ研究することはきっと孤独な作業でもあるでしょうがBOWさんに与えられた素晴らしい環境の中でこれからも研鑽を積まれますように。

そして、健康には呉々も留意して下さいね。

タケル
2009年1月18日18:21

Bow様

博士号取得おめでとうございます!
Bowさんの綴られる文章はとても知性的で、研究者としての真摯な生き方を
実感させてくれます。
今後のさらなるご活躍をお祈りしております♪

こんぺいとう
2009年1月18日20:01

Bowさん
博士号取得おめでとうございます。
毎日多忙な日々を送られているみたいですね、これからのご活躍を期待してます。

karia
2009年1月18日22:51

Bowさん、おめでとうございます♪

これからの益々のご活躍を
海の向こうからお祈り申し上げます。

まっちゃん
2009年1月19日7:43

Bowさん おはようございます☆

そして!そして!!!
おめでとうございます♪
やっぱ凄い!!!

私もここから応援していますね♪
本当におめでとうございます♪

Mimi
2009年1月19日7:44

Bowさん

Phd取得、おめでとうございます!
素晴らしいですね♪

この日まで
アカデミックな面でだけでなく、
教授や他の研究者、学生達との人間関係など、いろいろな面で、
いくつもの壁を乗り越えて来ていらっしゃると思います。
特に言語も、論理の構築の仕方も違う環境でなのですから、
すごいことだと思います。

これからも頑張ってくださいね!!
更なるご成功をお祈りしています。

chiaki
2009年1月19日10:04

博士号取得おめでとうございます!
今後のさらなる活躍を期待しています☆
頑張ってくださいね!

私もぼーっとしてないで、少し頑張らなくては・・・

meiki
2009年1月20日14:13

Bowさん
博士号取得、おめでとうございます☆
凄いです
諦めずに頑張っていけば、きっとそれなりの収穫を得ることが出来るのです
これからも頑張ってくださいね~

taka
2009年1月22日2:43

Bowさん、おめでとう。
偉いなぁ。オレも色々頑張らないと……。

Bow
2009年1月22日3:15

◇メイさん、こんにちは!
コメント、どうもありがとうございます。

>緻密で地味な研究というのは・・

そうですね、、。
自分の努力が大したものかはわかりませんが、
誰もが新しい発見を論文にしようと研究している中、
そういった研究の流れの問題点を掘り下げるというのは
忍耐力のいるものかも・・と思います。
問題点のある、しかもその問題を自分なら解決できる
研究の発表を聴いたりするのは、辛抱が必要ですね。

でも、日本の博士の学生は、
給与が無かったり雑用がまわされたり、
アメリカとは、別の大変さがあり、
辛抱が必要なのではと思います。
おかしなことですが。

LEDのN村氏は、やっぱり差は感じるのでしょうね。
カリフォルニアの雰囲気を知っていますから、
あそこはシリコンバレーもあり、スタンフォードなど有名な大学も多く
科学技術関係では企業と大学が強くリンクしているという話はよく聞きます。

今後、どうなるかわかりませんが、
疫学はどんな社会でも必要とされるはずなので
なんとか前向きに頑張ろうと思います。

Bow
2009年1月22日3:16

◇witchさん、こんにちは!
どうもありがとうございます!

最近、高山病の症状である低酸素状態が、
病気で深刻な状況に陥った患者の低酸素状態に近い
という論文を目にしました。
登山者を研究対象にすることで、低酸素状態に対する
人の適応能力やその過程を研究することができるという
論調で・・とても賢いなぁ!と思ったのでした。
疫学の研究も、その可能性をどんどん広げられそうです。
頑張ろうと思います。

Bow
2009年1月22日3:17

◇梨林さん、こんにちは!
どうもありがとうございます。。

遅ればせながら、博士取得です。
医学界は広く、医学博士として、疫学もさらに勉強している学者も多いので
自分もなんとかこれからオリジナリティを磨いていきたいと思います。
梨林さんもマイペースで頑張ってくださいね。

Bow
2009年1月22日3:17

◇amd_fxさん、こんにちは!
ありがとうございます!
お久し振りです。

思えば高校を卒業してから、大学院の留学を
漠然としながらも、ゆっくり考え始めて、
その過程を終えるに至ったのでした。
専攻する分野や研究内容など、全く予想できなかった内容で
そうしたことを考えると、また面白いですね。
amd_fxさん、これからどんどん頑張ってくださいね。

Bow
2009年1月22日3:18

◇la vie en roseさん、こんにちは^^
ありがとうございます!

自問自答もしていきたいのですが、、
これからは社会人として、研究成果を
出すことが求められますから
もっと生産的に頑張ろうと思います。

研究しつつ、Outputもしつつ、、難しそうですね。
ですが、最高峰で頑張ってみたいと思います。
(受け入れてもらえればよいのですが。)

Bow
2009年1月22日3:19

◇タケルさん、こんにちは!
どうもありがとうございます。

研究に携わっていると、
多くの研究の共通した問題点など見えてきて、さらに
そんな中で、研究結果を出さないといけないというのは
考えていると、気が重くなるばかりですが、、。
なんとか頑張ります!

どんな科学の世界でも、医学の臨床でも、深くに携わると、
どろどろしている部分もよく見えるのかなと思います。
タケルさんも頑張ってくださいね。

Bow
2009年1月22日3:20

◇こんぺいとうさん、こんにちは!

どうもありがとうございます!
いろいろと難しい局面ですが、
なんとか前にはすすんでいると思われます。
これからも頑張ります!

Bow
2009年1月22日3:20

◇夏里愛さん、こんにちは!
どうもありがとうございます!

疫学は、臨床実践にも公衆衛生にも、
展開できるので、なんとか独自性豊かに
いろんな方面に貢献できたらと思います。
頑張りますね。

Bow
2009年1月22日3:22

◇まっちゃんさん、こんにちは!
どうもありがとうございます!

博士を取った事は大切な一区切りで感慨深くもありますが、
次のキャリアの行方が気になるばかりで、
実は、両手を上げて喜ぶ感じでは全くないのですよ。
しかも内輪で認められたにすぎませんからね。
これからも頑張らなくてはなりません。
頑張ります!

Bow
2009年1月22日3:22

◇Mimiさん、こんにちは!
どうもありがとうございます!

これで晴れて疫学者の仲間入りです。
まだまだひよっこですが。

人間関係というと、あまりにも希薄だったかもしれません。
うちのプログラムは、人的交流を全く図らないので、
他のプログラムから問題視されている程です。
自分が獲得した疫学の問題点を指摘できる視点で
身近な学生の研究に、核心を疑うような問題を見つけると
なんだかな・・と思いますね。。
人間関係や言語の壁を乗り越えた・・というよりも
そういった壁を避けて通ることになっていたことも
もしかしたらあるかもしれません。

多分、これほど交流が無い環境も稀でしょうから、
これからの環境で、また新しい困難もあるかなと思います。
頑張りますね!

Bow
2009年1月22日3:23

◇chiakiさん、こんにちは!
どうもありがとうございます!

これからも頑張ります!
将来は、巷のダイエット本など批判でもしようと思います。

chiakiさん、いつも日記、楽しく読ませてもらっています。
お仕事、心労を重ねず、ゆらりと頑張ってくださいね?

Bow
2009年1月22日3:23

◇meikiさん、こんにちは!
どうもありがとうございます!

>諦めずに頑張っていけば、、、

そうですね!
ありがとうございます。
また研究の内容や、抱える研究課題など
どんなものと対峙するのか、わかりませんが、
諦めずに頑張ろうと思います。
これからもよろしくお願い致します。

Bow
2009年1月22日4:24

◇takaさん、こんにちは!
コメント、どうもありがとうございます!

すごいだなんて、恐縮です。
やはり、日本の博士課程の話を耳にする限り、
こちらの博士の学生は守られてる存在なのかなと実感します。
これからがやっぱり正念場ですね。

これからもよろしくお願い致します!

ろっしふみ
2009年2月4日15:56

遅まきながらおめでとうございます!私の父も研究者でしたのでそのご苦労のほ多少ですがわかります。静かな情熱に乾杯です(^_^)v

Bow
2009年2月17日8:07

◇ろっしふみさん、こんにちは!
お返事が遅くなってしまい、申し訳ないです。
コメント、どうもありがとうございます!乾杯!

これからも縁の下の研究を、
ひっそりと情熱的にがんばろうと思います!
Bow

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