タミフル ・・・ 議論の行方は・・?
2008年8月20日 ●Boston●研究(疫学) コメント (8)
タミフルの使用と使用後の異常行動には関係があるか。
数年も前から議論になっていることだけれど、
未だに決着がついていない。
厚生労働省は関係を否定し、
NPO法人などは、関係を肯定している。
また、生命科学者も、タミフルが脳に取り込まれることを観測し、
さらに神経伝達物質が応答を示すことを実証し、
タミフルの使用の脳神経系への影響を肯定している。
タミフルの被害者の会もある。
http://www.tamiflu89.sakura.ne.jp/
批判的な意見はここに集約されている模様。
立○隆という人のご意見(2007年)。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070324_tamiflu/
僕は疫学をやっているから、
興味がもちろんその疫学的な考察や解析方法へと向かうのだけど・・
ここのところ、とあるメーリングリストでも議論が具体的に盛んになって
ようやく状況や問題点がつかめてきた。
こちら7月の初旬に公開された厚生労働省の研究結果報告。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0710-6.html
これに対し、医師等がブログなどで批判、意見書が製作されたりする。
8月になり厚生労働省が誤りを認め、会議を9月以降に行うという。
疫学的な解析方法などを見てみたのだけど、突っ込みどころが満載だ。
これが国を代表する疫学の結果かと思うと正直、がっかりする。
英語の論文にしようものなら、即却下されるものだと思う。
臨床試験の結果報告ではなくて、
実際の臨床で実施されている処方や異常行動の観測結果を
10000例ほど集めて、
タミフルが処方された子どもの郡、処方されなかった子どもの郡について、
異常行動の発症率を比較している。
こうした薬の研究では、たとえば、次のような問題が生まれる。
「異常行動を起こしてしまうほど、
重篤なインフルエンザ脳症を患った子供が
より、タミフルを処方されやすい」
という事実が、潜んでいるとしたら、
タミフルを処方された子どもの郡では、
もちろん異常行動を起こす頻度が高くなる。
(Confounding by Indicationという)
これでは、タミフルを飲んでいる人程、異常行動を起こしやすいという
関係を見出すことはできても、タミフルが異常行動を起こしている
という関係ではないので、タミフルの副作用に関して誤った結論を導き得る。
そんな、潜んでいそうな事実の有無を、きちんと調べて、問題を除去すべく、
解析に含む子供たちを限定する、あるいは統計学的に解析を工夫する
などの手立てが必要になってくる・・。
でも、厚生労働省の研究班は、そうした問題を解決するどころか、
認識しているかも定かではない。疫学の専門家のみならず、
疫学の研究結果を読むことに慣れている医師などから
批判を受けることは当然だと思う。
アメリカの薬の認可などを行う行政機関のFDAも、
タミフルと異常行動の関係について、勧告を出しており
その理由は、日本からの報告があってこそのもの。
また韓国も、子どもに対するタミフルの使用を中止するような勧告を出しているが、
アメリカと同様、日本からのタミフルに関する報告を汲み取っているから。
先進国より注目を浴びている事柄である。
間違いを認めて、再検討するようだけど・・もっと頑張ってほしい。
でもこれほど注目されていると、疫学の株も上昇するね。
画像はこちら。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4906605370/keizaireportc-22/
本の執筆は出版界にサポーターがいれば可能。
専門家のレビューは必要ないのだが・・。
数年も前から議論になっていることだけれど、
未だに決着がついていない。
厚生労働省は関係を否定し、
NPO法人などは、関係を肯定している。
また、生命科学者も、タミフルが脳に取り込まれることを観測し、
さらに神経伝達物質が応答を示すことを実証し、
タミフルの使用の脳神経系への影響を肯定している。
タミフルの被害者の会もある。
http://www.tamiflu89.sakura.ne.jp/
批判的な意見はここに集約されている模様。
立○隆という人のご意見(2007年)。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070324_tamiflu/
僕は疫学をやっているから、
興味がもちろんその疫学的な考察や解析方法へと向かうのだけど・・
ここのところ、とあるメーリングリストでも議論が具体的に盛んになって
ようやく状況や問題点がつかめてきた。
こちら7月の初旬に公開された厚生労働省の研究結果報告。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/s0710-6.html
これに対し、医師等がブログなどで批判、意見書が製作されたりする。
8月になり厚生労働省が誤りを認め、会議を9月以降に行うという。
疫学的な解析方法などを見てみたのだけど、突っ込みどころが満載だ。
これが国を代表する疫学の結果かと思うと正直、がっかりする。
英語の論文にしようものなら、即却下されるものだと思う。
臨床試験の結果報告ではなくて、
実際の臨床で実施されている処方や異常行動の観測結果を
10000例ほど集めて、
タミフルが処方された子どもの郡、処方されなかった子どもの郡について、
異常行動の発症率を比較している。
こうした薬の研究では、たとえば、次のような問題が生まれる。
「異常行動を起こしてしまうほど、
重篤なインフルエンザ脳症を患った子供が
より、タミフルを処方されやすい」
という事実が、潜んでいるとしたら、
タミフルを処方された子どもの郡では、
もちろん異常行動を起こす頻度が高くなる。
(Confounding by Indicationという)
これでは、タミフルを飲んでいる人程、異常行動を起こしやすいという
関係を見出すことはできても、タミフルが異常行動を起こしている
という関係ではないので、タミフルの副作用に関して誤った結論を導き得る。
そんな、潜んでいそうな事実の有無を、きちんと調べて、問題を除去すべく、
解析に含む子供たちを限定する、あるいは統計学的に解析を工夫する
などの手立てが必要になってくる・・。
でも、厚生労働省の研究班は、そうした問題を解決するどころか、
認識しているかも定かではない。疫学の専門家のみならず、
疫学の研究結果を読むことに慣れている医師などから
批判を受けることは当然だと思う。
アメリカの薬の認可などを行う行政機関のFDAも、
タミフルと異常行動の関係について、勧告を出しており
その理由は、日本からの報告があってこそのもの。
また韓国も、子どもに対するタミフルの使用を中止するような勧告を出しているが、
アメリカと同様、日本からのタミフルに関する報告を汲み取っているから。
先進国より注目を浴びている事柄である。
間違いを認めて、再検討するようだけど・・もっと頑張ってほしい。
でもこれほど注目されていると、疫学の株も上昇するね。
画像はこちら。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4906605370/keizaireportc-22/
本の執筆は出版界にサポーターがいれば可能。
専門家のレビューは必要ないのだが・・。
コメント
しかしまぁ、そんないい加減なまとめをして、給料をもえらるなんて…。当然厚生労働省は誰もお咎めなしでしょうし。
僕もご意見に賛成しますよ。
感染病は専門とはしていないのですが・・。
リレンザは吸引式で、服用が難しいらしく
5歳未満の子には使えないのではという危惧があります。
その年齢層を除いては、リレンザの使用が良いと思います。
タミフルはインフルエンザAには利きますが、インフルエンザBにはあまり利かず、
リレンザは両方に効果あり・・という観察結果もあり、
次第にリレンザの方にシフトしていくのではないでしょうか?
2007年〜2008年初旬の研究結果が最近出てきており、
この秋に、そういった指針が、小児科学会やら感染病学会から
出てくるのでは・・と思っています。
厚生労働省の研究班と学会と協力して信頼できる情報を出してほしいものですね。
下手にお墨付き与えられてもどうかと…。
タミフルの経験はないのですが、3年半前リレンザを症状発症後12時間程度で使用したものの、一週間も床に伏せてました。
都会に引っ越してきて「電車は怖い」と思った瞬間でした。
>学会って勢力やら献金の関係とかないんですかね?
学会にもよると思いますね。。
怪しさを消すためにも、複数の学会や業界、行政機関が
協力して、互いに積極的に監督するようにするべきでしょうね。
>タミフルの経験はないのですが、
もげさんご自身についても、症状が重すぎたのか、
それとも、薬が合わなかったのか、その両方か・・。
症状の重さと、薬の服用と、、やっぱり難しい問題ですね。
その時点でもっとも効果のある治療が施されて、
たくさんの症例が集められて、研究が進めばと思います。
薬使ってもあれだけきついと、子供や年寄りは確実に死ぬ人が居るだろうなとは思いましたね。というか新型インフルエンザってどんな酷い症状なんだろうとか思いますが。
電車で新型インフルエンザを撒かれたら、私もあの世かも知れません。もっと効く薬が出来るか、インフルエンザに対応する体を作る何かが出来たらいいんですけどね〜。
そんなにきついのですか・・。
うがいや手洗いでも予防になるとのことですので
普段から衛生には気を配らなくてはなりませんね・・。
アメリカの疫学研究の報告によると、小中学校の学校の閉鎖も、
感染の予防に実際につながるとのことなので、社会人も、
仕事を休んだりする勇気が必要かな・・と思います。
通勤で集団感染というシナリオは避けたいですね、本当に。
私は朝に熱が出て「これインフル臭い!」と思って会社をサボって自転車で即病院へ。昼前にはリレンザ吸入しましたが、夕方には咳と熱で眩暈がして動けなくなって、そのまま一週間ほぼ外出せず(できず)でした。仕事が暇だったので「来るな〜」って言われて休んでましたが。
家に食料があったから良かったものの、200m先の八百屋まで辿りつけないくらいフラフラだった記憶があります。
懸命な判断をされたのですね。
お仕事に行っていたら大変なことになっていたのでしょう。
風邪を引いたら休むというと、子どもっぽい印象を持って
しまいますが、そんなではだめなのですねぇ・・。
今年も懸念されているような、
パンデミックなる問題が起こらなければと思います・・。