Mixed Results for Drug Used to Prevent Prostate Cancer
というタイトルのNY Timesのニュースより。

前立腺癌は皮膚癌に続いて2番目に多い癌だそうで、
2003年だけでもの6月現在でも22万の症例が確認されたそう。
28900人の男性がそれで亡くなっているとのこと。

前立腺癌を予防(治療ではない)するために
finasteride(ファイナステライド)という薬が、
Proscar(プロスカー)という商品名で売られいてるらしい。
4300人以上の年をとった男性が
7年間に渡ってその医薬品を使用したところ
比較対照郡(プラシーボ)と比較して、
25%も前立腺癌の発症が低かったのだそう。
でも2つの郡で発症した人同士で比較すると
finasterideが処方された郡では、
前立腺癌の進行が著しい割合が高かったのだと。

つまり、結果としては、
その薬は、発症のリスクを下げるが、
発症してしまった場合、その程度はひどいということ。
(タイトルでMixed Resultsとあるように)

薬の使用は内科医と個人の自由だという見解もあるみたい。

その結果について生理学的な考察が
記事の中身でいろいろと述べられているのだけど、、、

自分のこれから学ぶ疫学の分野でも
当然、栄養の摂取と前立腺癌との関係がいろいろと議論されている。
今、適当に論文を検索して、abstractを読んでみたところ
ビタミンE、セレン、亜鉛、リコペン(トマトに多いってやつ)の
摂取が多かったり、サプリメントをとっていると
前立腺癌の発症が低くなるみたい。
つまり、日頃のダイエットでも、
前立腺癌の発症に影響を与える。
もちろん、遺伝学的な因子も入ってくるでしょう。
癌だし。

と考えると、臨床検査ってすごい複雑。
finasterideの有効性や安全性を調べるには、
ダイエットの質、遺伝子、生活習慣などなど、
長い期間で、影響を与えうる因子といっしょに調べないと
やっぱり、本当の意味で説得力をもたせることはできない。
もしかしたら、ニュースのMixed Resultsは
ただ、タバコを吸っているか吸っていないかの
個人の違いかもしれないし
遺伝子の個々のちょっとした違いかもしれない。

これからの時代も
医薬品が臨床検査に回されることは絶えないと思う。
その検査の度にいろいろな因子を考慮に入れるのは、
なんとも果てしない話のような気がする。
(まぁ、柔軟な研究を展開できるように
母集団(すなわちコーホート)を確保しておけば、
それほど難しくは無いかもしれないが)

終わりが遠くても栄養疫学が確立されると、
薬学の臨床試験も、効率がよくなるだろうな。
がんばろうっと。

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Bow

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