学業の場として選んだこの街には、
UNやUNICEFなどの、国連機関の本部が
名を連ねていて、、、なんかいいことあるんじゃないかなと、
期待を抱いていたのだけど、、、
転がり込んできた。

UNICEFは、子どもの栄養に関する調査、改善を行う部門があって、
修士の学生はそのプロジェクトの一部を、
修士論文のテーマにすることができるという、、、
それに関するプレゼンテーションが今日会ったのだけど、
なんと、その部門のヘッドが出てきた。
ジーパン姿で。

僕はバングラデシュのヒ素研究の栄養学的なアプローチを
修士のテーマにしているので、
UNICEFに携わることはできないのだけれども、
international healthの共通点はあり、
なんといっても、国連機関。関連はなさそうでも
話を聞くだけでも価値がありそうな気配なので、足を運んだ。
ところで、寒すぎるぞ。
手袋しているのに、手が凍えてしまったし、
足先の感覚が次第に麻痺していった。

大学のミーティングルームにて、、、
ジーパン姿の彼と、なんと傍聴者は6人。
プレゼンとその傍聴という関係は、始めの5分で崩壊し、
ディスカッションとそのチェアという形になった。
お互いの自己紹介と、その集まりに関する期待。。。
僕はヒ素研究に従事(まだだけど)していることを告げ、
大変、興味ある、、、というようなことを言っただけだが。

その朝9時半からの集まりは、
なんと18時まで続いたのだった。
どういった方法論を駆使して、どうアプローチすることで、
論文を仕上げていくかという
プロジェクトのデザインに終始したディスカッションだったが、
とても有意義だった。
自分の英語がなんだか冴えてなくって、
なんかまたがっかりしたけど。。。

なんといっても有意義だったのが昼食。
計7人なので、必然的にみんなで、、、
という形になった。
そこで、僕はきっちり彼をマークする位置に座る。
会話は用意してなかったけれど。

が、話しやすいトピックを選んでくれた。
「君のバングラデシュでの研究を詳しく聞かせてくれ」
という。
やっぱり、内容がわかっていると、
英語がうまく話せるもんだね。
プロジェクトの構成など適当な内容をつらつらと、
ノンストップで語ったところ、
UNICEFでもバングラデシュの未熟児発症率No.1を懸念して、
マルチビタミン剤の効果を研究しているという。
それを含むUNICEFのバングラデシュのプロジェクトは
2000人規模なのだが、
自分が関わったプロジェクトは、10000人規模。
(僕の行う抗酸化剤の研究は、120人だが。)
総合するプロジェクトの大きさはまったく違う。
自分はなんて有意義な研究をしているんだろうと
心の中で喜んでいたのだけど、
UNICEFの栄養部門のヘッドも驚いていた。
何よりも、別々に似たような研究をしているのは、
とてももったいのないことだという。
僕も、喜ぶと同時にそう思った。

というか、疫学研究はだいたいそう思う。
研究成果は、個人やチームでないと業績として残らないのだけど、
やっぱり公衆の衛生を扱う研究であるなら、
統合される機会がなくては、
成果を世間様に還元するということができない。
大学などの研究機関はそういう意図があるのか?とたまに思う。
一方的に論文を打ち出して、次の研究へGO!って感じ。
論文の効果が、人を救うことになるなら、
それに加担すべき、、、というか、本来、それが目的の学問。

まぁ、それはよしとして、、、
(というか、UNICEFがのような機関が研究をまとめて
世の中に還元することに暗黙のうちになっているのか?)
UNICEFのヘッドが、僕を介して、僕の関わったプロジェクトに
UNICEFの研究も何らかの形で、関わるべきだと思ったらしかった。
連絡先、僕の関わったプロジェクトの管理者、、、など。
偉い人の間で、やりとりのされる類なので、
僕の利益はないのだろうけれど、嬉しかったのです。

また、僕がJapaneseということで、
JICAに入ってみたらどうだという提案をされた。
僕も将来の選択肢にプロフェッショナルのNGOを
視野に入れていることを告げると、
君のような人材が必要なんだと励ましてくれた。
そのわけは、日本の人材は専門に優れている人が少ないとのこと。。。

 それは僕がアメリカに勉強しに来た理由そのものだった。
日本の科学は、フィールドリサーチとは遠いイメージがある。
あくまで実験室、医学でも病室。
日本のNGOの世界的な貢献もあって、
フィールドでの研究の気運も高まっているものの、
大学の体質はなかなか変わらないために、
日本で大規模なフィールドに出れるプロフェッショナルを鍛える環境は
整っていない。
言語教育の欠落する理系では、
なおさら国際分野では使い物にならない。
だからサイエンスにたけた人材が、
アメリカにあるような教育機関で、
フィールドでの研究のいろはを学ばなくてはいけないんだと、
そう思って、アメリカの大学で勉強しているのを
そのまま伝えた。

笑顔だった彼の顔も、次第に真剣みを帯びていくのがわかった。
体もいつのまにか完全にこっち向いてるし!

彼のコメントは、日本の大学は保守的で
UNICEFのプロジェクトに参加することが少ないという。
また、UNICEFに日本人の人材が乏しいことだった。
これらも、強く同意。strongly agree.と言ってやった。
ただアメリカで研究しているとかとは違う意味で
国際性に富んだサイエンスのプロフェッショナルが
育ちにくい環境ならそういう結果が生まれる。

自分のこれまでの考えが
大御所に肯定されたのだった。
嬉しすぎ。。。
このままの考えで走っていけばいいんだ。
でも今の僕は、はっきりいって、
口だけの人間である。

ちなみに彼は僕の将来について、
日本に、知識と経験をもって帰ることと言ってくださった。
でもPh.Dの日本人取得者は、
日本に就職するのがネックとよく言われる。
どうなるか、、、それも考えているけれど。

また、僕の持っている考えを肯定した上で、
絶対に忘れてはいけないこととして、
人間関係を保つこと、そして論文を可能な限り出し続けることだった。
前者は、わかっているつもり。
バングラデシュで作った人間関係も逃がさない。
後者は、、、難しいな、、、
がんばろうっと。。。

抽象的ではあるにせよ、
道しるべの見分け方は完全にものにできた今日。
とっても有意義だった、、、!

勉強の意欲増したなぁ。
がんばってみたい。
がんばっていこう。

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Bow

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