疫学。
薬の効用であったり、病気の原因であったりを、
ある因子に着目、あるいはある因子を導入して、
集団の健康状態やその変化を追うというもの。

とある病気について、
ある人種では発祥例が少なく、
ある人種では多いという事が往々にしてある。
その違いを疫学的に証明すれば、
その症状の少ない集団の遺伝傾向を調べることができる。
さらに発症を妨げる遺伝因子を突き止める事ができれば、
どのような物質を薬として使えばよいか、
というようなデザインが可能になる。

「たばこは、肺癌の原因となる」
というのは、そもそも、
「たばこを吸う人には、後に肺癌になる頻度がやたら高い」
という疫学の結果が基になっている。(と思う)

文化とどういう関係にあるかというと、
たとえば、日本人の糖尿病や動脈硬化などの発症率は、
ここ20年急上昇中。
これは、日本人の食生活が欧米化していることに起因する。
科学的に日本固有の食生活が、
発症を妨げることが証明されているからである。
というわけで、日本の食生活はその点からも守るべきだと、
文化への着眼も可能になるということ。
(過去に書いた気がするが)

しかし、疫学にも問題があって、
病気の発症率の違いを見るということはつまり、
発症しやすい状態が、その地域に存在していないと話にならない。
ある集団の食文化が、病気の発症率を下げているのを証明したいとする。
食生活がたとえば欧米化すれば、発症率が上がるのか?
という興味が当然生まれる。
となると、研究の施行が、欧米の食生活を導入するかしないか
という違いを生むわけである。

 実際にメキシコのインディアンがそういった研究の対象になった。
その民族には、ある症状になりにくいという結果が得られ、
遺伝学的な研究も平衡して行われている。
が、研究目的のはずの欧米の食生活が根付いてしまい、
抵抗力をもっていない症状に関する発症率が、
急上昇してしまっている。

 研究も考えよう。
国内に限った研究なら、規制等が適応されるだろうが、
国境をまたぐ研究ともなると、
その研究の概念すらない地域にとっては、
なんのことだかさっぱりのままに、巻き込まれてしまう。

 自分の文化を守るということはよくわかる。
それは理性というより、感性で理解できる。
しかし、相手の文化を尊重っていうことについては、
おろそかになりがちなんじゃないかな。
愛国心のような感情が、芽生えないんだから。

 ちなみに、文化が守られているとはいえ、
やたら観光のために存在するような文化も
かわいそうに思うね。

コメント

Bow

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索