代替医療 ? ・・・ ビタミンC (その2)
2008年7月26日 ●Boston●科学のカラクリ・真相
ビタミンCの点滴療法について。
先日の続きです。
http://diarynote.jp/d/85527/20080725
ビタミンCの抗癌効果は、細胞レベルでしか
観測されていないという点から・・。
<><><><><><>
臨床では患者さんは実際に治療を受けているために、
癌の細かな種類はもちろん、治療との相互作用も、
メカニズムと有効性について、検討することが必要でしょう。
メカニズムとして、過剰なビタミンCは酸化ストレスを与え得るため、
癌の種類や進行の度合い、並行する治療との相関など
検討すべき項目は多く考えられます。
二重盲見試験ではない、ビタミンCの摂取が
癌の予防に役立つ可能性を示唆する疫学研究は、
多々あるのですが、ビタミンC以外の栄養素やその他ビタミンC摂取と
相関のある食生活に因果関係が考えられるため、
ビタミンCに抗癌作用があるとは考えることができません。
その点を踏まえて、野菜や果物を推奨するのは合理的ですが、
ビタミンCの大量投与などに結びつけるとなると、議論の過剰な飛躍と言えるでしょう。
研究者個人としては、
臨床試験でサポートされていない、有効性について解っていない、
学界が認めていない治療を独自(病院)の経験による判断で行う医師、
あるいは有効性の有無を判断できないにも関わらず治療を行う医師に、
患者さんが交通費とお金を支払って身を委ねて安心を得るよりは、
世界中の科学的な情報を、不確定性を含めて判断し、
治療効果の可能性を理解し、経済的にも精神的にも負担をかけずに治療を行う医師に
患者さんが治療の理解をし、信頼して、治療をしてもらえるようであればと思っています。
ビタミンCの点滴療法の臨床試験についてですが、
現行の臨床試験を集約しているウェブサイト(http://clinicaltrials.gov/) によると、
アメリカで臨床試験が現行しています。
来年に終了するものもあり、結果に期待されます。
(医学界に認められるには、詳細なレビューを経て、clinicaltrials.govに登録され、
さらに詳細なレビューを経た報告がされることが条件とされます。)
この臨床試験があることからわかるように、
実際の効果の有無がわからず、ヒト研究で検証されるべき状況で、
実際に研究を行っている研究者グループがあります。
しかし、その状況を他所に、ある医師が、高い医療費を患者に支払わせ、
点滴治療を行っているいるということが非常に残念でなりません。
<><><>
と、こうした文章を、2ヶ月くらい前にとある掲示板に書いた。
(少し改変してある)
ビタミンCの点滴療法の臨床試験を行うために、
どれだけの点滴量であれば効果を検討するのに妥当か・・
という小規模の研究結果が論文になっていた。
http://annonc.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/mdn377v4
7月25日にパブリッシュ。なんてタイムリーなんでしょうか。
臨床試験の最初の段階である。
第一相試験と呼ばれる。
・量が少なすぎては、効果がわかるはずがない。
・量が多すぎては、毒性を示してしまうかもしれない。
・ではちょうど良い量というのはどれくらいか。
という問題に答えを出す試験。
これが解らずに長期の試験を行うのは危険ということ。
詳細の臨床データを同時に収集する。
たとえば、血中のビタミンCがある一定濃度以上にならず、
それ以上の投与では、尿中のビタミンC(の代謝物)の濃度が
それに比例して上がっていく・・そんな状態で毒性が特に認められなければ
その濃度で長期の試験を行うのが良いだろうと判断する。そういう目的の試験。
毒性が認められないレベルの点滴濃度と、
点滴の時間を決める試験だが、本試験の前の試験なのだけど
その間に、癌の進行に変化があるかどうかももちろん追跡する。。
患者の癌の種類や、同時にどういった治療が施されているか、
詳細の情報が提供されている・・。
40キロの人であれば、
60グラムのビタミンCを点滴によって導入。すごい量だ。
サプリメントで摂っても1グラムくらいだというのに。
一週間に一度、三週間行ったよう。
重篤な副作用というものは認められなかったみたい。
追跡された、抗癌作用は確認されなかったよう。
全員、それなりに癌が進行したと書いてある。
この研究の患者数は18人。
こんな少人数では効果の有無はわからないのだが、
1人も症状の改善が見られないというのはちょっと・・と思う。
患者の精神面も、医療で使われる質問表を用いて、
数値化したようだが、その改善も特に見られなかったよう。
次は、100〜300人ほどの人数で、長期の研究結果が報告されることと思う。
第二相試験。結果が期待される。
<><><><>
画像は、ビタミンCの経口投与による癌医療を促進した
ライナス・ポーリングという人物。
http://profiles.nlm.nih.gov/MM/B/B/N/F/
その科学の功績でノーベル化学賞を受賞。
さらに、核兵器廃絶への働きによりノーベル平和賞を受賞した。
ビタミンCの経口投与は、抗癌効果は確認されなかったのだが、
「点滴投与であれば効果があるだろう!」
というのが、点滴療法のモチベーションのようだ。
確かに、経口投与では、吸収率の影響などで効率が悪い。
その点に着目したのは、なるほど・・と思うところだが・・・。
臨床試験の結果はビタミンCの歴史に関わるということで、
科学的な意義があるため興味深い。。
先日の続きです。
http://diarynote.jp/d/85527/20080725
ビタミンCの抗癌効果は、細胞レベルでしか
観測されていないという点から・・。
<><><><><><>
臨床では患者さんは実際に治療を受けているために、
癌の細かな種類はもちろん、治療との相互作用も、
メカニズムと有効性について、検討することが必要でしょう。
メカニズムとして、過剰なビタミンCは酸化ストレスを与え得るため、
癌の種類や進行の度合い、並行する治療との相関など
検討すべき項目は多く考えられます。
二重盲見試験ではない、ビタミンCの摂取が
癌の予防に役立つ可能性を示唆する疫学研究は、
多々あるのですが、ビタミンC以外の栄養素やその他ビタミンC摂取と
相関のある食生活に因果関係が考えられるため、
ビタミンCに抗癌作用があるとは考えることができません。
その点を踏まえて、野菜や果物を推奨するのは合理的ですが、
ビタミンCの大量投与などに結びつけるとなると、議論の過剰な飛躍と言えるでしょう。
研究者個人としては、
臨床試験でサポートされていない、有効性について解っていない、
学界が認めていない治療を独自(病院)の経験による判断で行う医師、
あるいは有効性の有無を判断できないにも関わらず治療を行う医師に、
患者さんが交通費とお金を支払って身を委ねて安心を得るよりは、
世界中の科学的な情報を、不確定性を含めて判断し、
治療効果の可能性を理解し、経済的にも精神的にも負担をかけずに治療を行う医師に
患者さんが治療の理解をし、信頼して、治療をしてもらえるようであればと思っています。
ビタミンCの点滴療法の臨床試験についてですが、
現行の臨床試験を集約しているウェブサイト(http://clinicaltrials.gov/) によると、
アメリカで臨床試験が現行しています。
来年に終了するものもあり、結果に期待されます。
(医学界に認められるには、詳細なレビューを経て、clinicaltrials.govに登録され、
さらに詳細なレビューを経た報告がされることが条件とされます。)
この臨床試験があることからわかるように、
実際の効果の有無がわからず、ヒト研究で検証されるべき状況で、
実際に研究を行っている研究者グループがあります。
しかし、その状況を他所に、ある医師が、高い医療費を患者に支払わせ、
点滴治療を行っているいるということが非常に残念でなりません。
<><><>
と、こうした文章を、2ヶ月くらい前にとある掲示板に書いた。
(少し改変してある)
ビタミンCの点滴療法の臨床試験を行うために、
どれだけの点滴量であれば効果を検討するのに妥当か・・
という小規模の研究結果が論文になっていた。
http://annonc.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/mdn377v4
7月25日にパブリッシュ。なんてタイムリーなんでしょうか。
臨床試験の最初の段階である。
第一相試験と呼ばれる。
・量が少なすぎては、効果がわかるはずがない。
・量が多すぎては、毒性を示してしまうかもしれない。
・ではちょうど良い量というのはどれくらいか。
という問題に答えを出す試験。
これが解らずに長期の試験を行うのは危険ということ。
詳細の臨床データを同時に収集する。
たとえば、血中のビタミンCがある一定濃度以上にならず、
それ以上の投与では、尿中のビタミンC(の代謝物)の濃度が
それに比例して上がっていく・・そんな状態で毒性が特に認められなければ
その濃度で長期の試験を行うのが良いだろうと判断する。そういう目的の試験。
毒性が認められないレベルの点滴濃度と、
点滴の時間を決める試験だが、本試験の前の試験なのだけど
その間に、癌の進行に変化があるかどうかももちろん追跡する。。
患者の癌の種類や、同時にどういった治療が施されているか、
詳細の情報が提供されている・・。
40キロの人であれば、
60グラムのビタミンCを点滴によって導入。すごい量だ。
サプリメントで摂っても1グラムくらいだというのに。
一週間に一度、三週間行ったよう。
重篤な副作用というものは認められなかったみたい。
追跡された、抗癌作用は確認されなかったよう。
全員、それなりに癌が進行したと書いてある。
この研究の患者数は18人。
こんな少人数では効果の有無はわからないのだが、
1人も症状の改善が見られないというのはちょっと・・と思う。
患者の精神面も、医療で使われる質問表を用いて、
数値化したようだが、その改善も特に見られなかったよう。
次は、100〜300人ほどの人数で、長期の研究結果が報告されることと思う。
第二相試験。結果が期待される。
<><><><>
画像は、ビタミンCの経口投与による癌医療を促進した
ライナス・ポーリングという人物。
http://profiles.nlm.nih.gov/MM/B/B/N/F/
その科学の功績でノーベル化学賞を受賞。
さらに、核兵器廃絶への働きによりノーベル平和賞を受賞した。
ビタミンCの経口投与は、抗癌効果は確認されなかったのだが、
「点滴投与であれば効果があるだろう!」
というのが、点滴療法のモチベーションのようだ。
確かに、経口投与では、吸収率の影響などで効率が悪い。
その点に着目したのは、なるほど・・と思うところだが・・・。
臨床試験の結果はビタミンCの歴史に関わるということで、
科学的な意義があるため興味深い。。
コメント