代替医療 ? ・・・ ビタミンC (その1)
2008年7月25日 ●Boston●科学のカラクリ・真相
ケーススタディとでも言えるかな。
http://www.amazon.co.jp/dp/4827550123
ビタミンCがガン細胞を殺す
この著者はビタミンCの点滴療法を行っています。
この本が、賞賛を受けているようですが・・。
この本の出版について、自分は強い疑念を抱いています。
機会を作って読むつもりです。
ビタミンCの点滴療法の有効性については
学界としては結論が出ておりません。
杏林大学の教授が執筆された本についてですが、
科学的・医学的に有効性が確証されていない段階で、こうした本が出版され、
さらに任意の治療が行われているということにショックを抱きました。
下に紹介しましたように、種々の医学論文でも結論には至っていません。
細胞生物学的な研究が先行してばかりで、
患者さんを対象にした、詳細で、客観的な評価を受けた研究は不十分です。
(公の出版物は専門家による客観的な評価を経ずに出版されます。)
ビタミンCの点滴療法により癌の症状が改善したという3例が、
この治療の代表的な例として取り上げられているようですが、
カナダの研究者の報告によると、
ビタミンCの点滴療法により症状が改善したという代表的な3例は、
寛解(症状の進行が収まり臨床上、問題の無い状態)が期待できる治療を、
並行して行った上での報告で、到底、ビタミンCに治療効果が
認められるものでは無かったとのことです。
http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/174/7/937
これはその3例の報告に関する対応として、
カナダの医学会が取った調査によるもので、
客観的な調査と判断し得ます。
また、ビタミンCの点滴療法を何人に行って、
その内の何割が改善し、改善しなかったのか、
実施と評価の全体像が全く考慮できない報告として問題視されています。
ビタミンCの点滴によるがん治療は、こうした報告ばかりです。
ビタミンCの抗癌作用に関する研究成果も報告されているのですが、
細胞実験上の観測によるものに過ぎず、多くの薬と同様、
ヒト研究による検討が必要と言える状況です。
アマゾンのレビューでは、気をつけて読めば判るように、
実際の効果がビタミンCの点滴療法に帰属できる記述はありません。
医学系と思われる人物も書いているものの、細胞学を基とした希望的推論でしかありません。
用いた癌細胞の1つは増殖が速いことで知られる癌細胞です。
増殖が速いために、研究する効率が高いとのことで選択しています。
癌の種類はさまざまで、発症や進行のメカニズムも異なるので
一種類の癌の細胞学実験が種々の癌に関して論じることができることはありません。
(癌の化学療法が均一でないことからも明らか)
またこの細胞学実験を行った同じ研究者たちが、
2007年9月に同じ学術雑誌に研究を報告しました。
杏林大の教授が本を出版をする3ヶ月前ですが、
この時点でも細胞実験の域です。
http://www.pnas.org/content/104/21/8749.abstract
その内容は、癌細胞を大量のビタミンCで処理した場合、
癌細胞に特異的に酸化ストレスを発生させるというもの。
過剰なビタミンCは、癌細胞にストレスを与えて、殺すということで、
期待はもてるとのことですが、正確なメカニズムは解っておらず
治療の対象にできる癌もまだ解っていない段階です。
ビタミンCは水溶性ビタミンで、過剰であっても排出できると考えられますが、
実際には、細胞内に蓄積する機構が正常の細胞でもあります。
蓄積することもあるので、正常の細胞でも、ビタミンCが生化学的な
ストレスを与え得ると考えることもできます。
やはり詳細の検討は必要です。
細胞内に、ビタミンCを取り込む機構はわかっており、
癌細胞において、その機構がどう機能しているか・・
ということも細胞学的に明らかにしておくべきことでしょう。
続きはまた今度・・。
ちなみに、ヒトとモルモット以外の動物では、
ビタミンCは、細胞内で糖から合成することが出来ます。
酸化ストレスと癌細胞などの研究において、
マウスなどの動物実験の結果を解釈する際には、
気をつけなくてはなりません・・。
この文章、もともととある掲示板に投稿したものを変えたもの。
ですので、ちょっと丁寧語。
ビタミンCは肌に良いといわれていますが、
コラーゲンの合成系の酵素の働きに関わっているからです。
抗酸化効果などとはまた別の話。
とっても複雑なビタミンCの働き・・
ということで楽観視できないのです。
前回のエントリー
代替医療 ? において、次のパラグラフを追記しました。
http://www.amazon.co.jp/dp/4827550123
ビタミンCがガン細胞を殺す
この著者はビタミンCの点滴療法を行っています。
この本が、賞賛を受けているようですが・・。
この本の出版について、自分は強い疑念を抱いています。
機会を作って読むつもりです。
ビタミンCの点滴療法の有効性については
学界としては結論が出ておりません。
杏林大学の教授が執筆された本についてですが、
科学的・医学的に有効性が確証されていない段階で、こうした本が出版され、
さらに任意の治療が行われているということにショックを抱きました。
下に紹介しましたように、種々の医学論文でも結論には至っていません。
細胞生物学的な研究が先行してばかりで、
患者さんを対象にした、詳細で、客観的な評価を受けた研究は不十分です。
(公の出版物は専門家による客観的な評価を経ずに出版されます。)
ビタミンCの点滴療法により癌の症状が改善したという3例が、
この治療の代表的な例として取り上げられているようですが、
カナダの研究者の報告によると、
ビタミンCの点滴療法により症状が改善したという代表的な3例は、
寛解(症状の進行が収まり臨床上、問題の無い状態)が期待できる治療を、
並行して行った上での報告で、到底、ビタミンCに治療効果が
認められるものでは無かったとのことです。
http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/174/7/937
これはその3例の報告に関する対応として、
カナダの医学会が取った調査によるもので、
客観的な調査と判断し得ます。
また、ビタミンCの点滴療法を何人に行って、
その内の何割が改善し、改善しなかったのか、
実施と評価の全体像が全く考慮できない報告として問題視されています。
ビタミンCの点滴によるがん治療は、こうした報告ばかりです。
ビタミンCの抗癌作用に関する研究成果も報告されているのですが、
細胞実験上の観測によるものに過ぎず、多くの薬と同様、
ヒト研究による検討が必要と言える状況です。
アマゾンのレビューでは、気をつけて読めば判るように、
実際の効果がビタミンCの点滴療法に帰属できる記述はありません。
医学系と思われる人物も書いているものの、細胞学を基とした希望的推論でしかありません。
用いた癌細胞の1つは増殖が速いことで知られる癌細胞です。
増殖が速いために、研究する効率が高いとのことで選択しています。
癌の種類はさまざまで、発症や進行のメカニズムも異なるので
一種類の癌の細胞学実験が種々の癌に関して論じることができることはありません。
(癌の化学療法が均一でないことからも明らか)
またこの細胞学実験を行った同じ研究者たちが、
2007年9月に同じ学術雑誌に研究を報告しました。
杏林大の教授が本を出版をする3ヶ月前ですが、
この時点でも細胞実験の域です。
http://www.pnas.org/content/104/21/8749.abstract
その内容は、癌細胞を大量のビタミンCで処理した場合、
癌細胞に特異的に酸化ストレスを発生させるというもの。
過剰なビタミンCは、癌細胞にストレスを与えて、殺すということで、
期待はもてるとのことですが、正確なメカニズムは解っておらず
治療の対象にできる癌もまだ解っていない段階です。
ビタミンCは水溶性ビタミンで、過剰であっても排出できると考えられますが、
実際には、細胞内に蓄積する機構が正常の細胞でもあります。
蓄積することもあるので、正常の細胞でも、ビタミンCが生化学的な
ストレスを与え得ると考えることもできます。
やはり詳細の検討は必要です。
細胞内に、ビタミンCを取り込む機構はわかっており、
癌細胞において、その機構がどう機能しているか・・
ということも細胞学的に明らかにしておくべきことでしょう。
続きはまた今度・・。
ちなみに、ヒトとモルモット以外の動物では、
ビタミンCは、細胞内で糖から合成することが出来ます。
酸化ストレスと癌細胞などの研究において、
マウスなどの動物実験の結果を解釈する際には、
気をつけなくてはなりません・・。
この文章、もともととある掲示板に投稿したものを変えたもの。
ですので、ちょっと丁寧語。
ビタミンCは肌に良いといわれていますが、
コラーゲンの合成系の酵素の働きに関わっているからです。
抗酸化効果などとはまた別の話。
とっても複雑なビタミンCの働き・・
ということで楽観視できないのです。
前回のエントリー
代替医療 ? において、次のパラグラフを追記しました。
マリファナを、多角性硬化症の症状軽減に、もはや「代替」
ではなく、主役として活躍させている医師もいる。
http://www.youtube.com/watch?v=t4nl5h2Hn0U (英語です。)
漢方など、「代替」医療ではなく、医療の主役になれる
ものもあると思う。代替医療に限ったものではない。
(便宜上、代替医療のものと分類しますが・・)
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