先日、引き受けたのは、実はその日の午前中に、似た内容でプレゼンテーションする予定だったから。二連荘で、同じような内容にしようと思ってた。でも午前中にあったと思ったものは、実は来週だった・・・けっきょく、午後の引き受けたもののみになってしまった。

 精神医学系の論文を見て取ると、やはりその分野に特有のアレコレがあり、いろいろと考えさせられる。

 ところで、自分の研究をよそに、精神医学系の論文を手に取るのは、疫学の関係が酷く未開拓であることと、日本では自殺がはやっているということが動機となっている。今後、知識が何かの役に立てばと願う。

 コレステロールというと、どんなイメージをいだくでしょう。実は自殺や精神疾患の領域では、コレステロールは低いと良くないという研究結果が数多くある。コレステロールは、細胞の強さや、細胞間の情報のやりとりに深く関わっており、量的に少なくなってくると、その情報のやり取りに支障をきたす。うつ病がその結果の1つである。
 近年、高脂血症と循環器系の疾患との兼ね合いで、コレステロールの濃度を下げる薬剤が多く市場に出回っているが、その影響でコレステロールの低くなりすぎることを問題視する学者が多くいるのが現状である。実際に、コレステロールの低い人を数年追跡すると、高い人と比較すると、自殺を図る人や欝傾向を示す人が多いという疫学結果が存在する。
 細胞生物学的にも、欝に関わる情報伝達系において、コレステロールは重要な役割を果たしているということがわかっているために、因果関係は強く、もはや無視できるものではない。有力な医学雑誌にも強い意見が出ている。

 精神医学系の論文に通じると、疫学的に無視できない論文にも出くわすことがあるということである。コレステロールも低けりゃいいというものではないということ。
 日本ではそれに関する説を提唱している人はいるにはいるものの、やはり劣勢に立たされているというのは聞いたことがある。疫学と生物学で、立証していかなくてはいけないことのように思う。

 ただ、考えてみれば納得がいくのでは?コレステロールは細胞の構成に必須の分子であるし、それがなければ、細胞の連絡網がうまく機能しない。さらに、コレステロールはステロイドホルモンの前駆体である。濃度が低ければ、それだけ性ホルモンなどのステロイドホルモンの生産効率が落ちるので、心身に支障をきたすのは・・・納得できません?

 どれだけ低ければ支障をきたすのか。支障をきたすということを知っておきながら、臨床試験を行うわけにはいかないので、猿を用いて獰猛性を検証したり、疫学結果を検証したりする研究がある。 Constantな結果が出ているので、そろそろコレステロールを下げるということに歯止めを利かす意見が一般化してもいいのでは・・・?と思う。

 コレステロールが高いと循環器系の病気を引き起こしやすくなるというのは、70年程の歴史がある事柄・・・。覆すわけではないが、低すぎても問題なんだ・・・というのも、それなりに受け入れられるべきだろう。

 そんなことを精神医学は教えてくれるわけです。もちろん、それだけではないので、また書いていきたいと思っています。

コメント

Bow

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索